冷凍食品に貼り箱ってどうなんだろうと思う話

冷凍食品用のパッケージについて、
「貼り箱って使えますか?」
というお問い合わせを、時々いただきます。

この質問は、
単純に「使える」「使えない」で答えると、
どうしても話がズレてしまう気がしています。

なので、考え方として一度まとめておきます。


貼り箱は冷凍食品向けの箱かと言われると、向いてはいない

まず前提として、
貼り箱は流通に乗る冷凍食品向けの箱ではありません。

貼り箱は、

・芯材にチップボール
・表面に薄い紙や布

を貼り合わせて作る箱です。

この構成は、
水分や結露に耐えることを前提にしたものではありません。

冷凍・冷蔵用途を想定した板紙を使う印刷箱とは、
そもそも役割が違います。


ただ、冷凍庫に入れたら即ダメ、という箱でもない

一方で、
貼り箱を冷凍庫に入れたら、
それだけで箱がシナシナになったり、
すぐに壊れたりするかというと、
そういうものでもありません。

以前、簡単なテストをしたこともありますが、
冷凍庫に入れたからといって、
箱そのものが致命的にダメになる、という印象はありませんでした。

なので、
貼り箱は「冷凍だから使えない箱」ではありません。


問題になるのは、冷凍そのものより流通と扱われ方

貼り箱が向かないのは、
冷凍であること自体というより、
その後の扱われ方だと思っています。

流通に乗る冷凍食品の場合、

・冷凍庫の開閉が繰り返される
・結露した他の商品と同じ環境で保管される
・長期間、安定した状態を求められる

といった条件が前提になります。

こうした環境では、
箱そのものに耐水性があることが求められます。

この点で、
貼り箱はどうしても不利になります。


小規模販売や直販なら、話は少し変わる

一方で、

・個人商店
・小規模メーカー
・店頭販売
・直の通販

といった売り方の場合、
箱に求められる役割は少し変わります。

中身は冷凍対応の袋でしっかり密封し、
貼り箱は外装として使う。

冷凍庫に入れっぱなしにしない前提であれば、
貼り箱を使っても、特に問題にならないケースは多いと感じています。

そもそも貼り箱は、
大量流通を前提にした箱ではありません。

そう考えると、
貼り箱の世界観の中では、
冷凍食品を入れて使うこと自体は、
それほど無理のある話ではないと思っています。


貼り箱に期待する役割を整理する

貼り箱は、

冷凍に耐える箱
ではなく
冷凍食品をきれいに売るための箱

です。

この前提を共有できていれば、

・ギフト用途
・見た目重視
・小回りの利く販売形態

では、
貼り箱がしっくりくる場面もあります。


ボックスストアとしての考え方

当店では、
貼り箱を冷凍食品向けの箱として積極的におすすめすることはしていません。

ただし、

・小規模な販売
・直販やギフト用途
・外装としての使用

こうした条件であれば、
貼り箱という選択肢は十分あり得ると考えています。

むしろ、
そういう商品には、
貼り箱を使ってもらってもいいと思っています。


まとめ

・貼り箱は流通向け冷凍食品には向かない
・ただし、冷凍庫に入れただけで壊れる箱でもない
・小規模販売や直販なら成立するケースは多い
・貼り箱は冷凍性能ではなく、売り方で選ぶ箱

冷凍食品用の箱を考えるときは、
どんな流通を想定しているのか、
箱に何を求めているのかを切り分けて考えると、
判断しやすくなります。

文責:長岡次郎(ボックスストア)