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芯材の厚みの選択について

貼り箱の製作では、外側の紙や色、印刷に目が行きがちですが、箱の輪郭は芯材の厚みによって決まります。芯材は箱の骨格です。見えない部分ですが、完成した箱の形、印象、手に取ったときの感触に直接影響します。

芯材は半切り(罫線入れ)して折り曲げている

貼り箱の芯材に使うのはチップボール(板紙)です。半切り(罫線入れ)して、片面をわずかに残した状態で割り、折り曲げています。いわゆるハーフカットです。折り曲げた芯材の上に、色の付いた薄紙を包むように貼って、箱に仕上げていきます。この工程上、芯材が厚くなるほど角は必ず丸くなります。これは避けられません。

厚い芯材ほど角は丸くなる

芯材が厚いと、罫線部分のRが大きくなり、角にはっきりとした丸みが出ます。箱が小さくなるほど、この丸みは相対的に強調されます。その結果、角は立たず、シャープさは出ず、全体がずんぐりした印象になります。

丸い角はかわいいが、シャープではない

角が丸くなることで、箱の印象はやわらかくなります。丸くてかわいい、やさしい印象になるという評価になることもあります。ただし、シャープな形を狙った箱にはなりません。

芯材の厚みは高級感を作る

芯材を厚くすると、重さと剛性感は確実に増します。これは意図して高級感を作るために使う要素です。手に取った瞬間の重さや、持ち上げたときの感触は、しっかりしている、高そうだという印象に直結します。ただし、芯材を厚くすると角は丸くなり、シャープさは失われます。

iPhoneの箱やVカットの箱について

厚くてシャープで高級感のある箱として、iPhoneの箱やVカットの箱を思い浮かべる人もいると思いますが、これらは貼り箱とは構造や作り方が異なります。当店では、チップボールを半切り(罫線入れ)して折り曲げる貼り箱を前提に設計しています。

芯材の厚みは設計で決める

芯材の厚みは、強度やコストだけで決めるものではありません。重さで高級感を作る箱なのか、形のシャープさで見せる箱なのか。どちらを作る箱なのかを先に決めてから、厚みを選びます。特に小型の箱では、芯材の厚みが仕上がりを決定づけます。

文責:長岡次郎(ボックスストア)

冷凍食品に貼り箱ってどうなんだろうと思う話

冷凍食品用のパッケージについて、
「貼り箱って使えますか?」
というお問い合わせを、時々いただきます。

この質問は、
単純に「使える」「使えない」で答えると、
どうしても話がズレてしまう気がしています。

なので、考え方として一度まとめておきます。


貼り箱は冷凍食品向けの箱かと言われると、向いてはいない

まず前提として、
貼り箱は流通に乗る冷凍食品向けの箱ではありません。

貼り箱は、

・芯材にチップボール
・表面に薄い紙や布

を貼り合わせて作る箱です。

この構成は、
水分や結露に耐えることを前提にしたものではありません。

冷凍・冷蔵用途を想定した板紙を使う印刷箱とは、
そもそも役割が違います。


ただ、冷凍庫に入れたら即ダメ、という箱でもない

一方で、
貼り箱を冷凍庫に入れたら、
それだけで箱がシナシナになったり、
すぐに壊れたりするかというと、
そういうものでもありません。

以前、簡単なテストをしたこともありますが、
冷凍庫に入れたからといって、
箱そのものが致命的にダメになる、という印象はありませんでした。

なので、
貼り箱は「冷凍だから使えない箱」ではありません。


問題になるのは、冷凍そのものより流通と扱われ方

貼り箱が向かないのは、
冷凍であること自体というより、
その後の扱われ方だと思っています。

流通に乗る冷凍食品の場合、

・冷凍庫の開閉が繰り返される
・結露した他の商品と同じ環境で保管される
・長期間、安定した状態を求められる

といった条件が前提になります。

こうした環境では、
箱そのものに耐水性があることが求められます。

この点で、
貼り箱はどうしても不利になります。


小規模販売や直販なら、話は少し変わる

一方で、

・個人商店
・小規模メーカー
・店頭販売
・直の通販

といった売り方の場合、
箱に求められる役割は少し変わります。

中身は冷凍対応の袋でしっかり密封し、
貼り箱は外装として使う。

冷凍庫に入れっぱなしにしない前提であれば、
貼り箱を使っても、特に問題にならないケースは多いと感じています。

そもそも貼り箱は、
大量流通を前提にした箱ではありません。

そう考えると、
貼り箱の世界観の中では、
冷凍食品を入れて使うこと自体は、
それほど無理のある話ではないと思っています。


貼り箱に期待する役割を整理する

貼り箱は、

冷凍に耐える箱
ではなく
冷凍食品をきれいに売るための箱

です。

この前提を共有できていれば、

・ギフト用途
・見た目重視
・小回りの利く販売形態

では、
貼り箱がしっくりくる場面もあります。


ボックスストアとしての考え方

当店では、
貼り箱を冷凍食品向けの箱として積極的におすすめすることはしていません。

ただし、

・小規模な販売
・直販やギフト用途
・外装としての使用

こうした条件であれば、
貼り箱という選択肢は十分あり得ると考えています。

むしろ、
そういう商品には、
貼り箱を使ってもらってもいいと思っています。


まとめ

・貼り箱は流通向け冷凍食品には向かない
・ただし、冷凍庫に入れただけで壊れる箱でもない
・小規模販売や直販なら成立するケースは多い
・貼り箱は冷凍性能ではなく、売り方で選ぶ箱

冷凍食品用の箱を考えるときは、
どんな流通を想定しているのか、
箱に何を求めているのかを切り分けて考えると、
判断しやすくなります。

文責:長岡次郎(ボックスストア)

貼り箱の中枠・仕切で、よく使う三つの構造

箱の中に枠や仕切を追加したい場合、中身の形や重さ、求める見た目によって、適した作り方が変わります。当店では主に、次の三つの仕様を採用していますが、お客様のご希望に応じて、他の仕様にも対応しています。

1. 紙の仕切り(厚紙・薄い段ボール)

中身の形がシンプルで、「区切るだけ」の場合に向いています。
ただし、見た目と強度を担保しながら中身を支える構造を作るのは非常に難しく、現実的ではありません。無理に強度を出そうとすると補強が増え、見た目も崩れやすく、結果的に高くつくことが多いです。

2. 布貼りの枠(薄い段ボール+サテン布)

サテン布ならではの豪華さ・華やかさが出せる点が最大のメリットですが、強度を優先したいときに、非常に合理的な方法です。見た目を気にせずに構造をしっかり作ることができ、最後にサテン布で覆うので、内部の補強や継ぎ目が見えません。よって、ギフト用途の仕上がりがぐっと良くなります。

3. ウレタン枠(ウーペケーネス貼り仕上げ)

クッション性が必要なときや、落ち着いた高級感を出したい場合に向いています。ただし、ウレタンは「支える」素材ではないため、大きいものや重いものには不向きです。箱の内部も高級感を出したいがサテン布の光沢が合わない場合は、ウーペケーネス貼りのウレタン枠が適しています。

文責:長岡次郎(ボックスストア)

ネオジム磁石(マグネット)を使う貼り箱について

マグネットの「パチッ」と閉まる気持ちよさ

ネオジム磁石を使ったマグネット式の貼り箱は、ふたを閉めると“吸い付くように決まる”ところが特徴です。この“パチッ”という感触があるだけで、箱の印象が大きく変わります。その気持ちよさを安定して出すために、芯材に埋め込む磁石の高さをそろえる作業が必要になります。理想は 芯材よりわずかに飛び出す程度で均一にすること。見えない部分ですが、仕上がりを左右する工程です。


マグネットは片側だけ。相手側はスチールプレート

当店では、マグネットとして使うネオジム磁石は 片側だけに埋め込み、相手側には薄いスチールプレートを仕込みます。両側を磁石にする必要がなく、向きの管理も不要で、開閉が安定します。
貼り箱と相性の良い“現実的なマグネット構造”です。


メンディングテープが仕上がりを支えている

磁石は芯材に入れたあと、メンディングテープで軽く固定しています。薄くて邪魔にならず、貼り箱で使う糊がしっかりつくため、表から紙を貼ったときに段差が出にくく、仕上がりがきれいになります。地味な部分ですが、マグネット式の箱では大事な工程です。


ネオジム磁石は強いぶん割れやすい

ネオジム磁石(マグネット)は、見た目は金属に近いですが焼結素材です。薄いものほど割れやすいため、扱いには注意しています。工程も通常の貼り箱より増えるので、低価格で大量に作る仕様には向いていません。


マグネットを入れるだけで箱の印象が変わる

マグネット式の貼り箱は、単なる“閉まる箱”ではなく、開閉に“演出”が加わります。軽く押すだけで自然に閉まり、高級感や特別感を出すのに向いています。ギフト商品や小ロットのプレミアム包装では、とても相性の良い仕様です。用途に合わせて、マグネットの位置や強さの調整も可能ですので、ご相談いただければ最適な仕様をご提案します。

文責:長岡次郎(ボックスストア)

カード固定方法の検討と手書き仕様書について

今回、商品券100枚の上にVIPカードをセットしたいというご相談をいただきました。お客さまからは参考画像として、AIで生成されたと思われるイメージ写真が送られてきました。写真は暗いトーンで高級感のある雰囲気に仕上がっていますが、そこから読み取れる仕様を図に起こしてみると、実際に製作した場合にはチープな印象が出てしまう要素があると感じました。

特に、VIPカードをゴムで斜めに固定する方法は、カードの質感と合わず、高級ギフト向けとしては避けたいところです。また、商品券の上にカード台紙が直接乗る構造も、見た目のバランスが悪く、品位が損なわれる可能性があります。そのため、全体の構造を見直すことにしました。


カード固定方法の検討

ゴム固定は採用せず、カード専用の丸型両面テープを使用する方法に変更しました。このタイプはカード裏面に粘着が残りにくいため、商品価値を損なわずに固定できます。商品券スペースについても、枠を設けた上で、その枠の上にカード台紙が乗る構造へと変更しました。これにより、カードと商品券のレイヤーが明確になり、全体の見え方も落ち着いたものになります。


手書き仕様書の作成

構造の違いを言葉だけで説明するのは難しく、かといってCGを作るほど大げさにしたくありませんでした。そこで、最も早く正確に伝わる方法として、仕様書を手書きで作成しました。

ボックスストアでは、このように手書きで構造を整理しながら提案することが多く、製作の意図や細部の狙いを共有するうえでも有効な手段だと考えています。

文責:長岡次郎(ボックスストア)