フタ無し・身箱のみ

フタ無し・身箱のみとは:
フタ無し・身箱のみタイプは、一般的な貼り箱の構成要素のうち「身箱」だけを単独で使用する仕様です。フタを設けず、上部を開放したままの状態で使うことにより、内容物の見せ方や出し入れのしやすさを重視した設計となります。展示什器やギフトセットの内箱、製品収納用トレーなど、さまざまな場面で活用されています。

構造と特徴:
芯材にはチップボールを使用し、外側を貼り紙や布で包んで仕上げます。構造はフタ身式やインロー式の身箱部分と同じで、底板・側面4面で形成された堅牢な直方体構造です。貼り加工によって剛性が高く、自立性と耐久性に優れます。上部が開いているため、内容物の取り出しやすさ、見せやすさに優れ、店舗陳列用の什器やギフト内装としても利用されています。

利点:
・フタを省くことでコストを抑えつつ、外観の高級感を維持できる。
・開放構造により、商品をそのまま見せる展示型の演出が可能。
・段ボールや紙トレーよりも高い剛性と安定感があり、再利用性にも優れる。
・他の箱(外装箱)との組み合わせで、ギフトセットや多段構造を作れる。
・製作工程が少なく、短納期・小ロットにも対応しやすい。

設計のポイント:
開放型であるため、上部の寸法精度と側面の直角精度が重要です。フタがない分、上縁が見えるため、紙の折り返し処理や角のカット精度が仕上がりの印象を左右します。
内寸は内容物に対して2〜3mm程度のクリアランスを取り、出し入れしやすい設計が理想。
底板の反りを防ぐために裏当てを施したり、重量物の場合は二重底構造にするなど、用途に応じた補強が有効です。

素材と仕上げ:
・外装にはマット紙、エンボス紙、布貼りなど多様な素材が使用可能。
・内側は無地の白ボール仕上げ、または同系色の貼り紙で清潔感を出す。
・高級感を求める場合は、内側にも布や色紙を貼る「総貼り」仕様に。
・印刷や箔押しによってロゴを加えると、什器やブランド演出にも活用できる。
・角部分の仕上げを丁寧に行うことで、フタ付きの箱と同等の完成度を持たせられる。

応用例と用途:
・店頭展示用什器、商品トレー、ディスプレイケース。
・ギフトセットの内箱(アウター箱との二重構造)。
・引き出し式やブック式の内装トレーとしての使用。
・アクセサリー、雑貨、菓子などの陳列用ボックス。
・工芸品や文具など、長期保管用の収納箱。

製作上の注意点:
・フタがないため、ホコリや汚れが入りやすい環境では使用場所を選ぶ。
・強度を保つため、芯材厚は最低でも1.2mm以上を推奨。
・折り返し部分の厚みで上縁が波打たないよう、貼り代の糊量を一定に保つ。
・長期使用を想定する場合は、PP貼りや表面ニス加工で防汚性を高める。
・多段構造で使用する場合、寸法公差を統一して積み重ね時のズレを防ぐ。

他形式との比較:
フタ身式やインロー式に比べ、構造が最もシンプルでコストパフォーマンスが高い形式です。高級感を損なわず、開放感のある展示や収納を実現できる点が特長です。フタを別部材として追加すれば、後からカスタマイズすることも可能です。

まとめ:
フタ無し・身箱のみタイプは、貼り箱の基本構造をもっともシンプルに活かした形式です。見せる・使う・収納するといった多目的用途に対応でき、設計次第で高級什器にもカジュアルな内装箱にも変化します。機能性と演出性のバランスに優れた、自由度の高い貼り箱形式です。