フタ身式(フタミ式)二色タイプ
フタ身式(フタミ式)二色タイプとは:
フタ身式二色タイプは、もっとも基本的なフタ身式貼り箱をベースに、フタと身箱で異なる色または素材を組み合わせた仕様です。上下で色が切り替わることで視覚的なコントラストが生まれ、同じ構造でも印象を大きく変えることができます。構造はシンプルながら、高級感とデザイン性を両立できる人気の仕様です。
構造と特徴:
基本構造は通常のフタ身式(かぶせ式)と同じで、フタと身箱の二部構成です。違いは、フタと身に使用する貼り紙を変える点にあります。異なる色や素材を組み合わせることで、箱全体にリズムや立体感を与えることができます。例えば、フタを濃色、身を淡色にすると重厚で安定感のある印象に、逆にフタを淡色、身を濃色にすると軽やかで華やかな印象になります。
デザイン上の利点:
・上下で色を変えるだけで、同じ構造でも全く異なる印象を演出できる。
・ブランドカラーを分けて表現でき、シリーズ展開や限定版にも適する。
・素材を変えることで、光沢や質感の対比を作ることが可能。
・貼り紙の選択肢が多く、マット×光沢、紙×布など組み合わせの自由度が高い。
・シンプルな構造のため、デザイン変更に伴う製造リスクが少ない。
設計と製作のポイント:
フタと身箱の貼り紙を別素材にする場合、紙厚や伸縮率の差によって寸法に微妙な誤差が出やすいため、設計段階でクリアランスを0.5mm単位で調整します。
濃色紙は糊の染みや擦れが目立ちやすく、淡色紙は糊跡や汚れが目立ちやすいため、貼り工程では清潔な環境を維持し、糊量の管理を厳密に行うことが重要です。
フタと身の境界(合わせ目)はデザイン上の見せ場となるため、色差が明確に出るよう、同系色ではなく明暗のはっきりした組み合わせを選ぶと効果的です。
素材と仕上げの選択:
・フタに濃色紙(黒・ネイビー・ボルドー)、身に淡色紙(生成・白・グレー)を用いると落ち着いた印象。
・逆配色で明るいフタを採用すれば、若々しくポップな印象に。
・紙素材のほか、布貼りやレザー調紙との組み合わせも人気。
・表面加工としてマットPPや光沢PPを併用することで質感を調整できる。
・箔押しや印刷を加える場合は、濃色側に配置すると視認性が高まる。
演出バリエーション:
・フタと身の境界線をブランドカラーで揃える「シリーズ統一型」。
・フタのみ別素材にする「素材対比型」(例:布×紙)。
・身箱の内側にも別色紙を貼り、三層構造で色の奥行きを出す「多層演出型」。
・インナーや内装布をフタと同系色にして、開けたときの一体感を出す。
・二色を反転させた「ペア構成」で、2箱セットギフトとして展開する方法もある。
製作上の注意点:
・フタと身の紙質が異なる場合、乾燥時の収縮差で掛かり寸が変動することがある。
・濃色紙は擦り跡が出やすいため、布手袋を着用して作業する。
・淡色紙に黒い糊が透けないよう、糊の選定を慎重に行う。
・マットPPは光を吸収しやすく、貼りズレや気泡が見えやすいため圧着を均一に。
・量産時には同ロット内で色のブレが出ないよう、紙メーカーのロット統一を確認する。
用途と採用例:
・ギフト商品(食品、コスメ、雑貨など)の限定版・特装版。
・ブランドカラーを活かした企業ノベルティやキャンペーンパッケージ。
・結婚式・記念品・周年行事などの特別ギフト。
・製品ラインごとに配色を変えたシリーズ展開。
・展示会・販売イベントでのアイキャッチ用パッケージ。
他形式との比較:
通常のフタ身式に比べて、構造上の違いはほとんどありませんが、配色だけで印象を一変させることができます。インロー式よりも軽快で親しみやすく、ブック式よりも量産向き。低コストでデザイン性を高めたい場合に最も効果を発揮します。
まとめ:
フタ身式二色タイプは、シンプルな構造でありながらデザイン性と高級感を両立できる貼り箱です。素材や色の組み合わせ次第で、フォーマルにもカジュアルにも変化します。費用を抑えつつ印象的なパッケージを作りたい場合に最適な形式です。