インロー式二色タイプ

インロー式二色タイプとは:
インロー式二色タイプは、段差構造を持つインロー式貼り箱をベースに、フタ・身箱・中枠(インロー)のいずれかを別色または別素材で構成した仕様です。上下または内外で異なる色を組み合わせることにより、段差の立体感と構造の美しさをより際立たせます。高級感とデザイン性を両立した、ブランド向け貼り箱の代表的な形式です。

構造と特徴:
インロー式は、フタと身箱の間に中枠(インロー)を設け、フタを被せたときにフラットな段差が生まれる構造です。これに異なる色や素材を組み合わせることで、段差部分のラインがデザイン要素として強調されます。三層構成のため寸法精度が要求されますが、完成時の美しさは群を抜きます。

デザイン上の利点:
・インロー段差部分に別色を配することで、構造美を強調できる。
・フタ・身・インローの3要素を自在に配色でき、デザインの幅が広い。
・インロー色をアクセントにすると、ブランドロゴのような印象を作れる。
・素材差(紙×布、マット×光沢)を組み合わせると質感の対比が際立つ。
・三層構造を活かして、パッケージ全体に「重厚感」と「奥行き」を付与できる。

設計と製作のポイント:
段差ラインがデザインの主役となるため、各部の寸法精度が最重要です。特にインロー高さは15〜20mmが基準で、段差幅はフタの深さとインロー高さの差で決まります。
色差を際立たせる場合は、インローの露出幅を2〜3mm確保するのが理想。
異素材を組み合わせる際は、紙厚や伸縮性の違いを吸収するため、各部の設計寸法を0.3〜0.5mm単位で補正します。

素材と仕上げ:
・フタ:濃色マット紙や布貼りで重厚感を演出。
・身箱:淡色紙またはナチュラル系素材で柔らかい印象をプラス。
・インロー:アクセントカラー(例:ゴールド・シルバー・黒・赤・生成)。
・貼り紙の組み合わせは「濃×淡」または「艶×マット」が最も効果的。
・内装にサテンや紙トレーを組み合わせることで、より完成度が高まる。

演出バリエーション:
・段差部分(インロー)をブランドカラーにして統一シリーズ化。
・フタと身を同色にして、インローだけ別色で浮かび上がらせる。
・フタと身の素材を変え、インローでつなぐ「異素材連結型」。
・外装をモノトーンにしてインローにビビッドカラーを挿す「隠しアクセント型」。
・段差ラインと同色の箔押しロゴを合わせ、全体の統一感を高める。

製作上の注意点:
・三層構造のため、貼り工程で厚みが重なる箇所を正確に管理する。
・インローとフタの色差が強い場合、わずかなズレでも目立つため貼り合わせ精度が要求される。
・インロー紙が厚すぎるとフタが浮くため、通常より薄手の貼り紙を選定する。
・貼り順序を誤ると、段差が均一に出ない場合がある。
・量産時には湿度管理が重要。乾燥による収縮で段差が変化しやすい。

用途と採用例:
・ジュエリー、コスメ、高級菓子など、ブランド価値を重視する製品。
・プレミアムギフト、企業周年記念品、アワード関連ボックス。
・展示会や百貨店限定品など、上質な印象を求める販促向け。
・シリーズ商品で色違い展開するデザインパッケージ。
・ブランドイメージを統一した高級感あるラインナップ構成。

他形式との比較:
フタ身式二色タイプよりも構造精度が高く、見映えも上級。ブック式よりも製作効率が良く、構造の安定性に優れます。サテン敷き仕様と組み合わせることで、さらに高級ラインとして展開可能です。

まとめ:
インロー式二色タイプは、構造の美しさそのものをデザインとして活かす形式です。三層構成による段差の陰影と、配色のコントラストが織りなす立体感が魅力で、ブランドの世界観を視覚的に伝えるパッケージとして高く評価されています。